長年の不満が募り、20年以上連れ添った夫と50代後半で熟年離婚したAさん。
離婚を考えたときに一番ネックになったことが、老後の家計の不安でした。
長年専業主婦や短時間のパート勤めで、厚生年金をほとんど収めてこなかったAさんは、送られてくる「ねんきん定期便」を見てはため息の日々でした。
そんなある日、友人から「離婚したら夫の年金が半分もらえる」という話を聞いたのです。
早速元夫のねんきん定期便を確認したAさんですが、夫の年金額の半分に自分の年金額をプラスすれば何とか生活できると思い、離婚を決意したのでした。
しかし、離婚後の手続きの中、衝撃の事実を知って愕然とします。
思っていたよりも、夫の年金からもらえる金額が少なかったのです。
実は、Aさんは大きな勘違いをしていたのです。
「元夫の年金の半分をもらえる」ではなく、
「夫婦どちらかが国民年金の第3号被保険者であった場合、請求すれば婚姻期間中の配偶者の“厚生年金”の2分の1がもらえる。」なのです。
この仕組みは厚生年金だけのことであり、国民年金は分割の対象になりません。
しかし、これを知らずに、年金分割で単純に“夫の年金が半分もらえる”と誤解している人はとても多いので、注意が必要になってきます。
分割金額の目安は日本年金機構に問い合わせることも可能なので、その金額を確認したうえで、離婚後の老後資金について考えた方が賢明と言えるでしょう。