全ての子どもが、生まれ育った家庭の経済社会状況にかかわらず、成長するために経済的な支援は欠かせません。とくに、離婚後のひとり親家庭であれば 養育費 が確保されることが極めて重要です。

子どもの貧困

子どもたちが、未来への希望を持ち、自立する力を伸ばすことのできる機会と環境を提供することは大人世代の責任です。

日本でも、7人に1人の子どもが貧困状態にあるといわれています。日本における子どもの貧困とは相対的貧困のことを指します。相対的貧困とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯のことを指し、子どもの貧困とは相対的貧困にある18歳未満の子どもの存在及び生活状況のことを指します。

相対的貧困は、毎日の衣食住に事欠く絶対的貧困とは異なりますが、経済的困窮を背景に教育や体験の機会に乏しく、地域や社会から孤立し、様々な面で不利な状況に置かれてしまう傾向にあります。

子どもの貧困 貧困率の推移 内閣府
子どもの貧困 貧困率の推移 内閣府

相対的貧困の状態にある子どもは、医療や食事、学習、進学などの面で極めて不利な状況に置かれ、将来も貧困から抜け出せない傾向があることが明らかになりつつあります。子どもの貧困問題への対応は喫緊の課題です。

 

ひとり親家庭 子どもの貧困 と 養育費 の課題

ひとり親家庭において、相対的貧困の状態にある子どもが多いのは間違いありません。ひとり親家庭での貧困対策を示します。

ひとり親家庭への支援の現状

例として、東京都・大田区では所得制限はありますが、

国からの給付としての児童扶養手当が、世帯当たり月額 43,070円(子どもの数が増えると増額されます。)

東京都固有の児童育成手当が、子ども1人当たり月額 13,500円支給されます。

一般的な児童手当も子ども1人当たり月額 5,000円〜15,000円支給されます。

離婚時の 養育費 の取り決めの促進

離婚によるひとり親世帯であれば、公的給付だけでなく、離別した親が養育費を負担することで、経済的な下支えとなります。厚生労働省の調査によれば、平成23年時点の調査で、養育費を受け取っているのは、全体の2割に満たないのです。

離婚時の 養育費 取り決め

2012年の民法766条の改正によって 離婚時に子どもとの面会交流、養育費の取り決めについて協議をすることが求められることとなっています。離婚届にも、実は、養育費の取り決めをしたかしていないかをチェックする欄がわざわざ設けられています。

離婚届提出時に窓口で養育費の取り決めをしたかしていないか確認して、取り決めが無いならば、何らかの相談窓口を紹介するなどの対応をすれば 養育費支払いの合意があるケースは増えて、養育費を受け取るひとり親家庭も増えるでしょう。

養育費 取り決めの 自治体離婚支援

筆者は離婚相談を受ける法律専門家の立場ですので、

養育費は離婚協議書に定める。

離婚協議書に定めても養育費の滞納は発生する。

養育費の滞納に備えて強制執行に移行しやすい離婚協議書公正証書を作成しておくべし!

と考えています。

もちろん、法律に縁のない夫婦にとって、公正証書を作成するのはとてもハードルがあるでしょう。お金もかかります(といっても、3~5万円程度です。)。その公証人手数料を自治体で補助することで、養育費の取り決め、そして、養育費の履行確保を支援する自治体の離婚支援が近年広がっています。一部を紹介します。

ちなみに、公正証書化する前段に、離婚専門家に相談するのもお金がかかります。それは、この離婚協議書作成サイトを活用されればよいかと思います。無料です。

クリックして離婚協議書を作成!

養育費 取り決めの 自治体離婚支援

離婚協議書作成サイトで紹介された自治体のリストからご参照ください。

公正証書の作成費用、裁判費用、養育費保証会社の保証料が、自治体それぞれで補助制度があります。すべてが対象ではなく、一部の自治体もありますので、お住まいの自治体をご確認ください。

もちろん、このリスト以外でも同様の離婚支援制度はある自治体はあります。お住まいの自治体をご確認ください。

小中学生向けの学習支援

市民活動が活発な地域では、ボランティアによる学習支援教室もあります。やはり塾に通うのは大きな出費になるので、勉強の機会が確保できない子どももいるでしょう。そうした子どもたちの地域の受け皿もあります。

「子どもを地域で育てる」という言葉もあります。地域で子どもを育てることに協力してくれる人を探して頼ってみるのもいいことです。

クリックして離婚協議書を作成!

 

執筆者: 岡 高志(行政書士) プロフィール

自治体の離婚支援 養育費
自治体の離婚支援 養育費

投稿者: 岡 高志(行政書士)

東京大学法学部卒業。東京大学大学院工学研究科都市工学専攻修了。46歳。 2011年行政書士登録。岡高志行政書士事務所開業。 大学卒業後、大手銀行、証券会社、外資系投資会社にて金融・開発投資の第一線で活躍。東京都・大田区議会議員として、地方自治の現場で課題解決を行うとともに、政界でのネットワークも構築。 行政書士として、多方面に秀でており、離婚・遺言・相続・会社設立のセミナーを開催。行政書士ブロガーで多方面で発信するとともに記事監修も行っている。著書「決定版 選挙・立候補マニュアル: 選挙活動の基礎からSNS活用法まで」(世論時報社)、「遺言書作成と相続対策のすべて (行政書士がかんたん解説!)」(世論時報社)